「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」の変更 ~需要主導型の「水資源開発の促進」からリスク管理型の「水の安定供給」へ~
令和3年5月28日 利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画※の変更について、本日、閣議決定を経て、国土交通大臣決定をしました。
本計画では、危機的な渇水時も含めて水需給バランスを総合的に点検し、既存施設の徹底活用を基本戦略としたハード対策と必要なソフト対策を一体的に推進することで、安全で安心できる水を安定して利用できる仕組みをつくり、水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指します。
※水資源の総合的な開発及び利用の合理化の基本となる計画で、水資源開発促進法に基づき全国で6計画(利根川水系及び荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系)が定められています。
【経緯】
危機的な渇水、大規模自然災害、施設の老朽化に伴う大規模な事故など、近年の水資源を巡るリスクが顕在化している状況を踏まえ、平成29年5月の国土審議会の答申では、従来の需要主導型の「水資源開発の促進」からリスク管理型の「水の安定供給」へと、水資源開発基本計画を抜本的に見直す必要があることが提言されました。
これを受け、利根川水系及び荒川水系については、令和元年7月より計画の見直しに着手し、国土審議会水資源開発分科会利根川・荒川部会における6回の審議、国土審議会水資源開発分科会における審議を経て本計画をとりまとめ、令和3年4月15日に国土審議会長より国土交通大臣へ答申された後、関係大臣協議、関係都県知事意見聴取を経て、本日、閣議決定、国土交通大臣決定をしました。
【新たな計画のポイント】
比較的発生頻度が高い渇水時を基準に水の安定供給を目指してきた前計画を新たな視点で転換
[1]供給の目標に、発生頻度は低いものの水供給に影響が大きいリスク(危機的な渇水等)を追加危機的な渇水、大規模自然災害、老朽化に伴う大規模な事故に対しても新たに目標を設定[2]需要と供給の両面に存在する不確定要素を踏まえて、水需給バランスの点検を行い計画を策定
<需要面> ・社会経済情勢等の不確定要素(人口、経済成長率)
・水供給の過程で生じる不確定要素(水供給過程での漏水等、給水量の時期変動)それぞれ、「高位」と「低位」の2 ケースを想定
<供給面> 「10箇年第1位相当の渇水」、「既往最大級の渇水」の2ケースを想定 [3]ソフト対策を供給の目標を達成するための必要な対策として計画に掲上「水供給の安全度を確保するための対策」、「危機時におい て必要な水を確保するための対策」に区分し、地域に即した対策を掲上
[4]PDCAサイクルの導入
計画策定後、おおむね5年を目途に水需要の実績や対策効果等を点検し、必要に応じ計画を見直し